芋水割り

立派な人間

笑顔コンプレックス

 

 

さっき新しく自分のコンプレックスを自覚した。笑顔コンプレックスだ。笑顔不足の方が正しいかもしれない。底抜けに笑顔を欲してしまう。笑顔のために身を粉にしている。I want egao.だ。

 


僕のアイドル好きは友人たちのほとんどが知るところだが、僕がアイドルにどっぷりハマるきっかけになったももいろクローバーZは、初めて映像を見た時もめちゃくちゃ笑っていた。ステージ上で歌って踊りながらにも関わらずもうほとんど爆笑に近い。飾りっ気のない底抜けの笑顔が僕の脳みそをトロットロにした感覚を今でも覚えている。初めてガチ恋したチームしゃちほこの伊藤千由李さんは握手会の時にいつも顔を超至近距離まで近づけて上目遣いでヘラヘラしていた。僕の推しメンたちは本当によく笑う。あと笑い方に屈託がない。目を線のように細めてシワだらけでくしゃくしゃに笑う子を見ると好きになってしまう。NegiccoNao☆さんに顕著。結婚おめでとう。

僕は自分の推しメンたちがブッチギリでかわいくて魅力的な女性たちだと思っているけど、別のメンバーを推しているオタクもいっぱいいるから皆んなが皆んな僕みたいにニッコニコアイドルラバーズなわけではないらしい。デスボイスで絶叫しているアイドルが好きなオタクもいるし、フロアにダイブしてオタクに中指を立てるアイドルに熱狂するオタクもいる。僕はそういうアイドルも素敵だとは思うけどハマりはしないな。

 


僕が落語をやるのにハマるのも道理だ。古典落語を覚えて喋るだけで目の前の客が笑う。間とか演技を工夫するともっと笑う。セリフを自分のニンに寄せるともっともっと笑う。僕に注目した大勢の人間が、同時に、声を上げて

、顔を歪めて、笑う。笑いを浴びると全身ビリビリする。大学四年間を通じて麻薬みたいに笑顔欲求がエスカレートし続けた。

 


何でこんなに他人の笑顔を欲しがってしまうのかちょっと不思議ではあった。半分も書けていない卒論の提出が翌日に迫っているのにJ☆Dee'ZのMOMOKAちゃんの笑顔が見たくて名古屋まで交通費を払って行ってしまうエネルギーと衝動と熱狂はどこから湧いてくるのか。そもそもの自分は予定が無いならベッドの上から一歩も動かず食事も不精して寝てるような怠惰な人間だ。

 


考えれば考えるほど不思議だが、その謎がさっき急に解けた。

 


現在僕は愛知の実家に滞在している。次の新居に引っ越すまでの繋ぎだ。よって両親と毎日顔を合わせる。会話をする。思えばこの両親という人間、僕の発言や行動に対して、いつも渋い顔をしている。顔を綻ばせるということが一切ない。いつも不安そうにしている。心配だとよく言われる。僕のすることの一切合切に心が落ち着かないらしい。物心ついた頃からずっとそう。オー!イイねぇ!やっちゃいなヨ!的なジャニー喜多川ワールドとは正反対の価値観で自己形成がなされてきた。

 


これだわ。

 


僕には、僕の好きな人が、僕を見て安心する、という体験がとにかく不足していたらしい。笑顔っていうのはある種、目に見える形の 安心 だ。目の前の人間に心を許して信頼してリラックスしていないと人は笑わない。だから僕にとって他人の笑顔というのは強烈な中毒性を帯びてくるのだ。

 


そりゃあアイドル好きになっちゃうよ。握手っていう身体の接触を伴いながら、好きな女性がこっちの目を見て笑うんだから。お前らはどうせ愛想笑いジャネーカって言うけど、笑顔にウソがなさそうな子を見つけちゃうと好きになっちゃうんだよ。

 

 

 

早くMOMOKAと結婚したいなぁ。