芋水割り

立派な人間

漫才作るの楽しい

M-1のためのネタを考えるのが楽しい。好きな芸人さんたちのフレーズをパズルみたいに組み合わせて遊んでるような感じ。ウケてしまったらどうしようとワクワクする。

そんなことを考えながら夜になると「お笑い芸人になっちゃおうかな♪」って思う。みんなも経験がおありになるでしょ。

僕自身業界のはしくれで働きながら、なんとなく"売れ方"や"稼ぎ方"みたいなものは想像がつく。ひととおりの戦略を練ってみる。色んなアイデアが浮かぶ。

 

いつものことだ。売れるまでの妄想は楽しいんだけど。売れた後に発生するであろう問題に思い至ったところで全身に急ブレーキがかかる。ここまでがワンセット。ピーターパンシンドロームルーティーン。

 

50歳、60歳まで現役で続けるって無理。加齢によって体力も思考力も落ちていく。それでいてエンターテイメントは常に飽きられ続ける。アップデートの要請から逃れられない。いずれ次世代にまくられる。テレビ観てれば分かる。

そもそも今の社会の豊かな状態が自分が死ぬまで続く保証もない。社会に余裕がないとき、カルチャーにお金は分配されない。

 

スターの栄光は華々しいけど。それだけに短い。早くに売れたとしても、裏方に回ったり、次世代を育成するっていうことになっていくんだろう、ほとんどの場合。そして、夢追う若者を取っ替え引っ替え消費して糊口を凌ぐのだ。

 

エンタメっていうのは結局どこまでいこうとファンビジネスで、心に不足感がある人から搾取するか、余裕がある人から施しを受けるっていう生き方になる。お金の出どころは元を辿ればそのふたつだけ。風俗といっしょ。

それを生業にするのってちょっとあんまりだな。人生に対して成熟した態度とは言いにくいか。「末期哀れは覚悟の前」って言葉は重い。

 

エンターテイメントってやっぱり社会の循環の歯車を動かしていない。米を作ったり、電気を供給したり、算数を教えたり、していない。人間社会の維持に与している感覚が得られにくい。生計を立てられたとしても、どこか後ろめたい気持ちを引きずりながら生きていくことになっていきそうな気がする。

 

好きだし関わってはいきたい。ただ、それより先に社会の循環の中にある仕事で生計を立てた方が精神的に安全だ。そして余った時間のなかでTVer観たりDJコントローラーで遊んだりしていくのが健康的なんだろうと思う僕は。長い目で見たときに。

 

あ、でもエマワトソンが国連でジェンダーレスを呼びかけたりとか、BTSが大金寄付したりとかそんなレベルの話は別だな。エンタメによって巨大な注目を集める人は社会を前進させられる。かっこいい。でも僕はそれにならなくていい。